能登半島周辺の海藻

~能登詞藻庵(のとしそうあん)の海藻日誌~

2020年秋 北海道海藻採集 6日目 海藻の王者コンブ

2020年9月28日

函館~恵山~茅部~鹿部

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函館フェリーターミナルで車中泊した私は、午前6時半、ついに北海道海藻採集を開始しました。

最初の目的地は函館市立待岬

朝日の昇る絶景の中崖を降りていくと、海岸線との間にわずかな岩場が見えてきました。

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この岩の隙間に、千切れたマコンブが少数はさまっていました。

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状態の悪いものが多く、また残念ながら他の打ち上げ海藻は確認できませんでした。

さて立待岬へと続く上り坂は共同墓地になっており、石川啄木一族のお墓があることで有名です。

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しかしそれ以上にこの墓地には、かの偉大な遠藤吉三郎先生のお墓もあるのです。

これは寺田先生の『藻類採集地案内』で初めて知りました。

さすがにどの墓石かまでは分かりませんでしたが、この旅の無事を心の中でお祈りさせていただきました。

それにしても海の見えるこんなに素敵な墓地、初めて見ました。

ここに葬られたら、死後も気持ちよさそうですね(?)。

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市街を一望できる素晴らしいスポットです。

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その後砂浜海岸2か所で打ち上げを見ましたが空振りが続き、志海苔海岸までやって来ました。平磯が周囲に広がり、寺田先生の採集地案内にも紹介される場所です。

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浜を行くと、見事コンブの打ち上げが見つかりました。

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立派なマコンブです。

宮城県志津川湾で打ち上げ採集した個体よりはるかに大きく、さすが北海道ですね!

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長さは2m以上ありそうです。

幅も太いですね!!

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2020年秋 北海道海藻採集 6日目(1) マコンブ打ち上げ

こちらはホソメコンブでしょうか。

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太さが全然違いますね。

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2020年秋 北海道海藻採集 6日目(2) ホソメコンブ打ち上げ

他にもアカバを拾うことができました。

北海道らしい海藻に次々会えて、とても興奮しました。

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道中、北海道の雄大な景色に圧倒されます。

方々でコンブが天日干しされていました。

函館から恵山方面、さらに茅部、鹿部へ向かう道中です。

夏場の最盛期には、あたり一面が昆布干し場になり、昆布ロードと呼ばれるとか。

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午後からは函館市恵山岬町にある水無海浜温泉へ。

ここは干潮時にのみ入浴できる、珍しいスポットです。

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行ったときは満潮の前後で、波の強く風呂の形は分かりませんでした。

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打ち上げを見ようとしたとき、ちょうど地元のおばあちゃんが、朝に採って乾かしていたコンブの回収に来られました。

ご好意で写真を撮らせてもらえました!

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回収する際に、根の部分はハサミで切り取ってしまいます。

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次々とソリに載せていきます。

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おばあちゃんに

「これはマコンブですか、ホソメコンブですか」

と聞いたところ

「出汁昆布だよ~」

と教えてくれました。

用途が大切で、あまり生物としての区別はつけていないようです。

おばあちゃん、どうもありがとうございました。

このあと岩場の隙間を見て歩いたところ...

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私が最も好きな海藻の一つ、チガイソが打ち上がっていました!

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チガイソの胞子葉って、こんなに大きく、また革質になるんですね。

初めて知りました。

2月に志津川湾で採集したチガイソよりも、だいぶ大きいです。

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見てください、この胞子葉...

なんて美しいのでしょう...

チガイソが好き過ぎる...

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こちらはホソメコンブでしょうか?

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新鮮なコンブって、本当に美しいです...

見れて良かった...

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そして本日最後に立ち寄ったのが、北海道茅部郡鹿部町にある「道の駅しかべ間歇泉公園」です。

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この道の駅では、北海道に数あるコンブの採れる浜の中でも、日本最高級とされる白口浜産真昆布を販売しています。

そしてその展示が本当に素晴らしいです。

どうかイラストに注目してください。

親切な店員さんに教えていただいたのですが、天然真昆布のイラストは基質が岩になっています。

一方で養殖真昆布は垂下式養殖を表すため、基質がロープで更に下を向いて伸びているのです。

なんと細かく、正確な表現なのでしょう!

これは本当にコンブのことを愛し、知り、こだわりを持っている証拠です。

自分はこの話を聞いて、本当に感動しました。

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天然マコンブ。基質は岩。

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養殖マコンブ。垂下式なので基質はロープ。下を向いて伸びている。

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他にも色々な海藻商品が並んでいます。

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そして一目見て、思わず「嘘だろ...」とつぶやいてしまいました。

業界でも幻のアイテムといわれる(?)『タオル昆布』が売っていました!!

Twitterでその存在は知っていたのですが、まさかこのタイミングで出会えるとは...!

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買うしかないでしょう...!

店員さんによると『昆布タオル』ではなく『タオル昆布』という名前にしたのも、早竿昆布のようにコンブがメインの商品であるということを意識したとのことです。

素晴らしい!

ただ緑色にしたのは、作っている企業が全国区の会社なので、まぁそういうことなのでしょう...

こんど茶色を作ってください、お願いします。

この道の駅しかべ間歇泉公園は隠れた海藻の名所でした!!

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道の駅しかべ間歇泉公園での戦利品です。

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この箸置きはたぶんコンブだろうと思って買いました。

と、とうがらしじゃないよね...

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石川に帰ったら、早くこのだしでみそ汁を作りたい。

勝ち確です。宣言します。

昆布醤油というのも気になります。どんな味なんだろう?

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そしてタオル昆布です。

...やっぱり緑だと、湯通ししたワカメかレタスの葉っぱに見えてしまいます。

 

今日一日の充実度はそれはそれはやばいものでした(語彙力)。

北海道来て良かった!!

写真の撮れ高も十分なので、室蘭までは観光もしつつ、本命の道東を目指します。

それでは!