能登半島周辺の海藻

~能登詞藻庵(のとしそうあん)の海藻日誌~

2025年10月24日 富山氷見 打ち上げ採集

2025年10月24日

富山県氷見市にてホンダワラ類の打ち上げ採集を行った。

海況:波高1m前後、波向は北東(富山湾内に向かって入ってくるかたち)、風向きは北東の風6m前後(こちらも富山湾内に吹き込むかたち)。

結果:ウスイロモクの打ち上げ複数を確認。

内訳

枝先のみの状態:2個体

主枝1本のみの状態:4個体

茎を含む状態:2個体

 

これまでの経験的に氷見市沿岸においては、9月10月に限ると、海が多少荒れたのち北東の風が吹けば、かなりの確率でウスイロモクの打ち上げが見られる。

これは北東の風が富山湾の地形的に岸に向かって吹く風であるため、海面を漂う流れ藻が岸に寄りやすいからだと個人的に予想している。

この北東の風は1年のうち9月10月に最も卓越する。それ以外の月は風向きが変わり、ウスイロの打ち上げも体感的に得られにくくなる。

風向きのイメージ

以下に打ち上げで拾ったウスイロモク各個体の写真を載せる。

個体No.は拾った順番に基づき付与した。

ウスイロモク 個体No.1 枝先のみの状態

 

ウスイロモク 個体No.2 主枝1本のみの状態

 

ウスイロモク 個体No.3 主枝1本のみの状態

 

ウスイロモク 個体No.4 主枝1本のみの状態

ウスイロモク 個体No.4 エボシガイの仲間が着生

このウスイロモク 個体No.4 は体表にエボシガイの仲間(カルエボシ?)が着生していた。

基本的にウスイロモクの打ち上げ個体は近場に生えていたものが浜に打ちあがっていると解釈しているが、長期間海面を漂っているパターンもあるのかもしれない。

その場合、もともとの生育場所はどこなのだろうか。

ちなみにエボシガイの仲間が着生したウスイロモクの打ち上げ個体は、2024年11月にも今日と同じ氷見市内の浜で拾ったことがあり(下写真)、記憶にある限りでは今回が2例目である。

2024年11月4日 富山県氷見市 打ち上げ個体

 

本日拾ったウスイロモクの紹介に戻る。

ウスイロモク 個体No.5 茎を含む状態

ウスイロモク 個体No.5 藻体下部

ウスイロモク 個体No.5 冠葉

かなり久しぶりに拾った、茎まで残ったウスイロの打ち上げ個体。

今年はほとんど打ち上げ採集をしていなかったので、2025年初めての茎付きの気がする。

この個体No.5の気胞の中には、立派な冠葉を付けるものがあった。

ウスイロモクとフシスジモクの区別は慣れないうちは苦労する。

だが冠葉に関して、フシスジはそもそも冠葉がなかったり、小さい突起であることが多い(ごくまれに例外はある)。

一方でウスイロはいわゆる葉の形をした立派な冠葉をつけることもあるので、個人的に同定の参考情報の一つとしている。しかしこの個体No.5もそうだが、個体の気胞すべてに冠葉がつくということはなく、ごく一部の気胞にのみ冠葉が生じている。また全く冠葉をつけない個体も多く、むしろ冠葉をつける個体のほうが少数派である。

なお冠葉自体は年級の高い低いや季節に関係なく観察される。また石川県、富山県新潟県で打ち上げ採集したウスイロ個体からそれぞれ冠葉を確認しているので、個人の見解として、冠葉を持つことはウスイロモクの種全体としての形態的特徴であると思っている。

 

ウスイロモク 個体No.6 主枝1本のみの状態

 

ウスイロモク 個体No.7 茎を含む状態

 

ウスイロモク 個体No.8 枝先のみの状態

ウスイロモク 個体No.8 冠葉

この個体No.8も気胞に冠葉をつけていた。

 

以上が本日拾ったウスイロモクである。

これらはすべて押し葉にする予定である。

そのほかに押し葉にするのにちょうどよい大きさのエンドウモク、ウスバノコギリモクも落ちていたので持ち帰った。

そのほか落ちていたホンダワラは、覚えている限りで

ホンダワラ(S. fulvellum)

・フシスジモク

・ノコギリモク

・ヤツマタモク

・マメタワラ

・ヤナギモク

・ヨレモク

であった。

ウスバノコギリモク

エンドウモク

ウスイロモクの打ち上げが拾える条件として、「同時にウスバノコギリとエンドウモクが落ちている」があると思う。

これは完全に個人的な経験則なのだが、たいていウスイロを拾う時にはウスバノコギリとエンドウモクも落ちている。

特にウスバノコギリは深所性のホンダワラなので、砂をかむ深所に生えるウスイロとは生育場所が氷見沿岸においては隣接していることが多いのではないだろうか?

潜って見たことがないので、憶測の域を出ないのだが。

最後に今日の打ち上げの様子。

風景①

風景②

こうした打ち上げ塊の中からウスイロやその他押し葉にちょうどよさそうなホンダワラ個体を探していくのが、宝探しのようでなんとも楽しい。

青丸内がウスイロモク

青丸内がウスイロモク

慣れてくると脳みそが勝手に画像解析をして、「あっ、ウスイロ」と気づいてくれる(上記写真2枚、脳内イメージ)ので、人間の脳とか直感というのは便利なものである。

なおフシスジモクとエンドウモクが非常に紛らわしく、12月以降4月くらいまでの枝葉が細くなったウスイロモクはホンダワラ(S. fulvellum)とも酷似するので、おっ、と思ってもたいていはウスイロでないことが多い。

高知県立牧野植物園へ行ってきた ~展示編~

 

去る2023年7月11日12日にかけて、高知県にある高知県立牧野植物園へ行ってまいりました。

海藻の採集旅行の途中ということもあり、11日は50分弱、12日も1時間30分程度と少ししかいられませんでしたが、常設展示やミュージアムショップでのグッズ購入を楽しみました。

そこでこのブログ上で、

①常設展示

②購入グッズ

をそれぞれ紹介したいと思います。

なお園内に生えている様々な植物種は時間の都合でほとんど見られなかったので、また別の機会にゆっくり見てまわりたいと思います。

※たぶんじっくり見ようとすると、最低でも半日は必要です。

正門入ってすぐの看板

今回は①常設展示を見ていきます。

まず言うと園内順路が良く分からなくて、初めての人はどこにどう行けばいいか、よく分からないと思います。

自分も全然分からなくて、初日は閉園時間ぎりぎりに入ったので、行きたい施設にたどり着けませんでした。

やはり牧野植物園は時間にゆとりをもって行かれることをおすすめします。

入園券

11日の閉園時間間際に行った時は、窓口で直接料金を払い、写真左の入園券をもらいました。12日は朝から行きましたが、同じ窓口で今度は自動発券機からの購入を案内されました。そして写真右の入園券が発券されました。

2種類もらえてラッキー。

なお一般の入園料は730円ですが、JAFの会員カードを見せると100円引きになります。

正門から入った場合、この正門のある建物が本館になります。

本館脇にあるオブジェ

この本館を抜けて、スロープをまっすぐ降りていくと展示館があります。

その道中にも色々な植物が植えられています。

小高い山の上にある牧野植物園。見晴らしも最高だ。

展示館目の前にスエコザサを発見!

 

世の中のあらん限りやスエコ笹

 

糟糠の妻である壽衛子を思って詠んだこの歌。

実物を目の前にすると、胸に迫るものがあります。

展示館入ってすぐにあるのが、牧野博士が最晩年を過ごした書斎の再現。

自分こういう部屋大好き。

いい感じに要塞化されていますね。

自分も最期死ぬときは、部屋をこういう感じにしたいです…

いや男の子なら誰だって多少はあるでしょ...

ジャンルが植物か昆虫か魚か貝かおもちゃか、色々あるとは思いますが...

行李に標本を挟んだ大量の新聞...

いい...

しびれるわ...

こっちは大量の吸い取り紙。

あぁ、押し葉を作る環境が整えられている、まごうことなき要塞

わかる、わかります、牧野博士。

その場ですっと押し葉に出来る環境が欲しいんですよね。

ちょっと気分で採ってきて、その足ですぐ押し葉にすることとかあるのよ。

だからすぐ手の届く範囲に、押し葉作りツールが置かれているの、まじ共感する。

大量の書物。

牧野博士は大変な書籍の蒐集家でもあられた。

わかる。手元に置いておきたいのわかる

(まぁ、ここら辺は人の性格にもよるが...)

乱雑におかれた胴乱もいい...

すぐにでも胴乱、野冊を引っ提げて採集に出かけそうだ。

活かし箱(手前、見切れ)と仕事机。

仕事道具でいっぱいになった机、自分大好き

ミニマリスト

何を寝ぼけたことを言っている?

自分はマキシマリスを目指します。

もうこの書斎見れただけで、自分、感動しました

これは長野へ採集旅行へ行った牧野博士が、お壽衛さん(自宅)に送った標本の宛書。

うおお、いっぱい採るとこうして送るんだよね。

100年前とかでもちゃんと国内郵便や配達が機能しているのすごいなぁ。

採集の記録がこういう形でも残されるのは、たいへん興味深い。

自分も今回の高知海藻遠征では数回ヤマトのクール宅急便を使わせてもらった。

今回あっつ過ぎて、クーラーボックスに入れているとはいえ、こりゃすぐ傷む!と思いすぐヤマトに持ち込んでいた。

(しかし最後の場所での打ち上げ品を宅配代ケチって2~3日連れ回していたら、家に着いたら若干傷んでしまっていた!馬鹿なことをした...)

昔は海藻も宿に持ち帰って押し葉にしたと、山田幸男先生の文章で読んだことがある。今は便利な世の中になったものだ。

博士の採集や押し葉作製グッズ。

「らんまん」効果で、こういう展示を見る人も増えたのではないだろうか。

博士の忘れてはならない大きな功績の一つが、全国にまたがる植物ネットワークを作ったことだろう。

全国各地の有志・知人から標本を送ってもらい、また各地に植物同好会を作り、日本の植物相の解明に大学の偉い先生だけではなく、在野の名もなき人々が持てる限りの力を尽くした...

プロジェクトXや...

熱い時代や...

海藻だって、当時はきっとそうだったんだろう...

翻って現代、陸上植物ですら在野のハイアマチュアは先細りにあると聞く。

海藻は更に危機的状況にあるのではないかと、たいへんに危惧している。

海洋環境の変化に伴い、現代こそ、むしろより日本各地の定点定期的な観測が求められているはずだ。

自分は大したことは出来ないが、それでも北陸在住のいち海藻ファンとして、打ち上げ拾いを続けていくモチベーションとなる展示だった。

その他、図鑑関連の資料も充実していた。

押し葉の展示もあるが、比較的少数だ。

海藻もそうだけど、あんまり押し葉って数展示されてないんだよなぁ...

人の作った押し葉たくさん見たいのに...

なかなか一般人が何となくで標本庫で押し葉見せてもらえないでしょう?

牧野博士は押し葉も一流と聞く。

企画展が来るのを待つしかないか...

というわけで、前編となる展示編でした。

本当は園内にはまだまだ、温室や広大な野外順路があるのですが、今回は見てまわれませんでした。

また今度、おもしろい企画展がある際などに再訪したいと思います。

なお園は山のてっぺんにあるので、道中、車の運転が怖い場所が少しあります。

一方通行になっているので、焦らずに運転すれば大丈夫です。

次は購入したグッズを紹介したいと思います。

ありがとうございました。

 

おまけ

これは恥ずかしながら自分の作業机の周り。

今は高知へ行く前に冷凍庫を空けるため、大量に押し葉を作った影響で、さらしなどが少なくなっている。

個人でやっていく上で重要なのは、いかに手軽に気軽に、標本を作ることが出来るシステマチックな環境を整えられるかにあると思う。

牧野博士は自然とそれを体現しておられる。

能登半島周辺の褐藻 ウスイロモク(Sargassum pallidum)について 第1回 ~ウスイロモクの季節消長~

※このページの文章は専門家による監修を受けていません。参考としてご覧ください。

 

能登半島周辺に生育するホンダワラの仲間に

ウスイロモク

Sargassum pallidum

という種類がいます。

本種は国内での生育範囲が秋田県~石川県・富山県までとされており、日本海の限られた範囲にしか分布していません。

そのため本種についての詳しい情報は限られており、島袋(2021)によると、ウスイロモクが生育しているという単発的な調査報告はあるものの、季節消長などの生態的特徴を調査した例はほとんどないのが現状です。

そこで筆者は2021年の9月から富山県氷見~石川県能登島までを中心とした範囲で本種の打ち上げ採集を出来る限り毎月行い、幸いに1~12月の各月において打ち上げ藻体を得ることが出来ました。

また藻体各部の形態写真もまとまってきたので、本種の様々な形態的・生態的特徴を各テーマごとに別けて、このブログ上に発表していく予定です。

第1回のテーマは「ウスイロモクの季節消長」です。

得られた打ち上げ藻体から、本種の成長過程、季節による形態変化、成熟期間などが少しずつ分かってきました。

以下に各月ごとの腊葉標本を並べ、その季節消長を示します。

なお月によっては得られた打ち上げ藻体数が1~2個体の月もあり、図中にある”低年級~高年級”の比較は厳密なものではなく、あくまでも筆者の主観による大まかな目安であることをお断りいたします。

また生殖器床を付けていた標本に関しては、採集年の前に赤丸を付しました。

簡単にまとめると

①藻体

春から新葉が伸長していき、夏から秋にかけても本種は成長が進んでいるように感じる。

冬には藻長が大幅に伸長し、成熟が始まる。

そして翌年の春に放卵し、葉と生殖器床を含む枝は次々と脱落していく。

一方で茎からは新芽が育っており、この新芽が旧葉の脱落と並行して伸長し始める。

以下このサイクルの繰り返しである。

本種は明らかに多年生である。

茎は年を重ねるごとに伸長し、去年以前の主枝の脱落痕が明瞭に観察される。

幼胚から発生した幼体の成長の様子は、残念ながら筆者はまだ明らかに出来ていない。

 

②葉

幅の広い鈍円の新葉は、春以降に古い枝が脱落するのと並行して伸長し始める。

夏以降は徐々に葉幅が狭まり始め、縁辺には鋸歯が目立ち始める。個体によっては重鋸歯となる。

冬になると藻体上部から小型化していき、葉幅も大幅にせまくなり、縁辺の鋸歯は小さく、あるいは全縁となる。

また春から成長が進み主枝が伸長すると、茎近くの主枝下部から直接生える葉や側枝は脱落し、主枝の中部~上部にのみ葉ないし側枝が付くようになる。

さらに葉の質は成長度合いによって変化し、新葉~若い葉では硬く、折り曲げるとカバノリのようにパキッと割れる。また縁辺が強く波打つものも多い。一方で冬場に見られる全縁で葉幅の狭い葉では、藻体の上下を通して質は柔らかくたおやかである。縁辺が波打つこともない。

 

生殖器

2023年6月現在、最も早くて2月から生殖器床の形成を確認している。

早ければ4月には生殖器床自体が枯死し、中心の芯だけを残して流失している個体も見られるので、この前後の時期には放卵していると予測される。

生殖器床は今のところ6月まで藻体に残っているのを確認している。7月にはもうない。

 

④その他雑感

本種はその打ち上げの様子から見て、夏場でもある程度の葉を持った藻体を維持していると思われ、夏枯れによって林床が貧弱になった海中において、魚などの貴重な隠れ場所になっている可能性がある。

 

今後は藻体各部の形態や季節による変化、近縁種であるフシスジモクとの相違点を紹介していく予定です。

最後に国内のウスイロモクの生態・形態について書かれた論文を以下に紹介します。

このシリーズはこれらの論文を参考にしています。

 

新井章吾, 筒井功, 寺脇利信 1996. 能登半島に生育するホンダワラ類の概要と生態的視点を背景とした検索表. のと海洋ふれあいセンター研究報告 2:7-16.

島袋寛盛 2021. 日本産温帯性ホンダワラ属 26回目:ウスイロモク. 海洋と生物 43: 321-326.

Yoshida, T. 1983. Japanese species of Sargassum subgenus Bactrophycus (Phaeophyta, Fucales). Journal of the Faculty of Science Hokkaido University Series V (Botany) 13: 99-246.

吉田忠生 1985. ホンダワラ類の分類と分布(4).Teretia節-1.海洋と生物 37: 106-109.

吉田忠生 1998. 新日本海藻誌. 内田老鶴圃, 東京.

2022年3月23日 富山県 氷見市

2022年5月1日 富山県 氷見市

2022年7月24日 富山県 氷見市

2021年10月31日 富山県 氷見市

2021年12月10日 石川県 能登島

 

海藻はんこを落款にしてみた

突然ですが日本郵便

手作り風はんこ作成ツール

https://nenga.yu-bin.jp/hanko_enter/

をご存知ですか。

手持ちの画像をはんこ風に変換してくれて、めちゃくちゃ楽しいサイトです。

そのはんこ画像、落款としても使えそうでしたので、試しに作ってみました。

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どうでしょう、クレジットの横に入れてみました。

元のはんこ画像はこちらです。

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このはんこ画像は手持ちのユカリの写真から作りました。

まだまだたくさん作ったので、いつかの機会に紹介したいです。

能登半島産海藻 褐藻 ウスイロモク (Sargassum pallidum) の年級比較-改訂版-

2021年の9月30日以降、ここ約一ヶ月半の間、石川県と富山県にまたがる富山湾西部海域沿岸で、ウスイロモク(Sargassum pallidum)の大量打ち上げが続いています。

枝切れまで含めると、今日(2021年11月14日)までに150以上の藻体を打ち上げ採集しています。

この内約20個体については、盤状付着器が残っていました。

そこで押し葉にし終わった18個体の写真を掲載します。

様々な年級の個体が含まれていました。

また季節が進むにつれ、葉の幅はより狭く、小さくなってきている印象です。

そこで付着器付きの個体のみではありますが、

・年級の違い

・季節の進み具合による違い

を可視化するために、押し葉標本を並べてみました。

それが下の写真です。

この大量打ち上げはいつまで続くのでしょうか...

気力が続く限り調べていきたいです。

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波穏やかな富山湾
この海の奥深くに、ウスイロモクはひっそりと生えているのだ。

能登産海藻 紅藻 クシノハ(Dasyclonium flaccidum) の写真

紅藻

クシノハ

Dasyclonium flaccidum

 

採集日:2021年10月9日

採集場所:石川県能登半島

着生基質:ウスイロモク(Sargassum pallidum)

 

2枚目と3枚目は四分胞子嚢と嚢果なのかな?

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めっちゃ小さい

海藻サイアノタイプ その1

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サイアノタイプという写真の撮影方法があります。

サイアノタイプは青写真や日光写真とも呼ばれ、その美しい青色から多くの人に愛されています。

イギリスのアンナ・アトキンス[Anna Atkins](1799~1871)は植物学者にして「世界で最初の女性写真家」としても知られています。

彼女が1842年に自費出版した『Photographs of British Algae: Cyanotype Impressions』は、題名通りイギリスに生育する海藻をサイアノタイプで撮影し、それをまとめた写真集です。

その美しい写真の数々に私は大変感銘を受けました。

そこで自分でも作ってみたので、ここ2週間の間に出来上がった分をまとめました。

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フシスジモク

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フシスジモク

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マメタワラ

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ジョロモク

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紅藻の一種(ヒカゲノイト?)

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ナラサモ

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エンドウモク

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フシスジモク

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カギケノリ

ここまで載せた写真は、水洗してすぐにスマホで撮影したものです。
乾燥させると、少し違った青味になります。

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乾燥後

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水洗の様子

アンナ・アトキンスさんの作品は乾燥後も濃い青色のままです。

台紙や試薬、感光時間など、工夫する余地はたくさんあるので、これからも色々試していきたいと思います。

サイアノタイプおもしろいですね。

普通にデジカメで撮影するのとはまた違った、海藻の美しさを楽しめます。

余分な情報を排した、その海藻が持つ自然(じねん)のシルエットと、深い海の青色がいいです。

また作りためたらまとめていこうと思います。

 

おまけ

アンナ・アトキンスさんに関する書籍には以下のものがあります。

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Sun Gardens: Cyanotypes by Anna Atkins

  • 出版社 ‏ : Prestel 
  • 発売日 ‏ : 2018/11/5

アンナ・アトキンス女史の主要なサイアノタイプ作品が収録されています。

女史に関する解説も充実。

大型本で、見開きいっぱいに美しいサイアノタイプが印刷されていて、青色の世界に没入できます。

2年前はAmazonで8000円しないくらいで買えましたが、残念ながら現在はプレミア価格となっています。

英文です。

www.amazon.co.jp

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Cyanotypes Of British Algae: The Cyanotypes Of Pioneering Photographer Anna Atkins: Anna Atkins' Algae Cyanotypes

  • 出版社 ‏ : Independently published
  • 発売日 ‏ : 2021/8/23

こちらは最近出たばかりの一冊です。

冒頭にも紹介した『Photographs of British Algae: Cyanotype Impressions』やその他アトキンス女史が発表した多数の海藻サイアノタイプが収められています。

250葉近くの海藻や陸上植物のサイアノタイプ写真を見ることが出来ます。

しかし上の写真の通り、モノクロ写真での掲載であり、カタログ感は否めませんが、アトキンス女史のサイアノタイプ写真は代表的なもの以外は目にする機会がほとんどないので、貴重な一冊だと思います。

値段も1500円程度なので、気軽に購入できると思います。

英文。ペーパーバック。

https://www.amazon.co.jp/Cyanotypes-British-Algae-Pioneering-Photographer/dp/B09DFL5B4G/ref=sr_1_8?__mk_ja_JP=%E3%82%AB%E3%82%BF%E3%82%AB%E3%83%8A&crid=WN0VJOSEJ8XA&dchild=1&keywords=cyanotype&qid=1631713128&rnid=2321267051&s=books&sprefix=Cyanotyp%2Caps%2C322&sr=1-8

 

みんなも作ろう海藻サイアノタイプ。