能登半島周辺の海藻

~能登詞藻庵(のとしそうあん)の海藻日誌~

高知県立牧野植物園へ行ってきた ~展示編~

 

去る2023年7月11日12日にかけて、高知県にある高知県立牧野植物園へ行ってまいりました。

海藻の採集旅行の途中ということもあり、11日は50分弱、12日も1時間30分程度と少ししかいられませんでしたが、常設展示やミュージアムショップでのグッズ購入を楽しみました。

そこでこのブログ上で、

①常設展示

②購入グッズ

をそれぞれ紹介したいと思います。

なお園内に生えている様々な植物種は時間の都合でほとんど見られなかったので、また別の機会にゆっくり見てまわりたいと思います。

※たぶんじっくり見ようとすると、最低でも半日は必要です。

正門入ってすぐの看板

今回は①常設展示を見ていきます。

まず言うと園内順路が良く分からなくて、初めての人はどこにどう行けばいいか、よく分からないと思います。

自分も全然分からなくて、初日は閉園時間ぎりぎりに入ったので、行きたい施設にたどり着けませんでした。

やはり牧野植物園は時間にゆとりをもって行かれることをおすすめします。

入園券

11日の閉園時間間際に行った時は、窓口で直接料金を払い、写真左の入園券をもらいました。12日は朝から行きましたが、同じ窓口で今度は自動発券機からの購入を案内されました。そして写真右の入園券が発券されました。

2種類もらえてラッキー。

なお一般の入園料は730円ですが、JAFの会員カードを見せると100円引きになります。

正門から入った場合、この正門のある建物が本館になります。

本館脇にあるオブジェ

この本館を抜けて、スロープをまっすぐ降りていくと展示館があります。

その道中にも色々な植物が植えられています。

小高い山の上にある牧野植物園。見晴らしも最高だ。

展示館目の前にスエコザサを発見!

 

世の中のあらん限りやスエコ笹

 

糟糠の妻である壽衛子を思って詠んだこの歌。

実物を目の前にすると、胸に迫るものがあります。

展示館入ってすぐにあるのが、牧野博士が最晩年を過ごした書斎の再現。

自分こういう部屋大好き。

いい感じに要塞化されていますね。

自分も最期死ぬときは、部屋をこういう感じにしたいです…

いや男の子なら誰だって多少はあるでしょ...

ジャンルが植物か昆虫か魚か貝かおもちゃか、色々あるとは思いますが...

行李に標本を挟んだ大量の新聞...

いい...

しびれるわ...

こっちは大量の吸い取り紙。

あぁ、押し葉を作る環境が整えられている、まごうことなき要塞

わかる、わかります、牧野博士。

その場ですっと押し葉に出来る環境が欲しいんですよね。

ちょっと気分で採ってきて、その足ですぐ押し葉にすることとかあるのよ。

だからすぐ手の届く範囲に、押し葉作りツールが置かれているの、まじ共感する。

大量の書物。

牧野博士は大変な書籍の蒐集家でもあられた。

わかる。手元に置いておきたいのわかる

(まぁ、ここら辺は人の性格にもよるが...)

乱雑におかれた胴乱もいい...

すぐにでも胴乱、野冊を引っ提げて採集に出かけそうだ。

活かし箱(手前、見切れ)と仕事机。

仕事道具でいっぱいになった机、自分大好き

ミニマリスト

何を寝ぼけたことを言っている?

自分はマキシマリスを目指します。

もうこの書斎見れただけで、自分、感動しました

これは長野へ採集旅行へ行った牧野博士が、お壽衛さん(自宅)に送った標本の宛書。

うおお、いっぱい採るとこうして送るんだよね。

100年前とかでもちゃんと国内郵便や配達が機能しているのすごいなぁ。

採集の記録がこういう形でも残されるのは、たいへん興味深い。

自分も今回の高知海藻遠征では数回ヤマトのクール宅急便を使わせてもらった。

今回あっつ過ぎて、クーラーボックスに入れているとはいえ、こりゃすぐ傷む!と思いすぐヤマトに持ち込んでいた。

(しかし最後の場所での打ち上げ品を宅配代ケチって2~3日連れ回していたら、家に着いたら若干傷んでしまっていた!馬鹿なことをした...)

昔は海藻も宿に持ち帰って押し葉にしたと、山田幸男先生の文章で読んだことがある。今は便利な世の中になったものだ。

博士の採集や押し葉作製グッズ。

「らんまん」効果で、こういう展示を見る人も増えたのではないだろうか。

博士の忘れてはならない大きな功績の一つが、全国にまたがる植物ネットワークを作ったことだろう。

全国各地の有志・知人から標本を送ってもらい、また各地に植物同好会を作り、日本の植物相の解明に大学の偉い先生だけではなく、在野の名もなき人々が持てる限りの力を尽くした...

プロジェクトXや...

熱い時代や...

海藻だって、当時はきっとそうだったんだろう...

翻って現代、陸上植物ですら在野のハイアマチュアは先細りにあると聞く。

海藻は更に危機的状況にあるのではないかと、たいへんに危惧している。

海洋環境の変化に伴い、現代こそ、むしろより日本各地の定点定期的な観測が求められているはずだ。

自分は大したことは出来ないが、それでも北陸在住のいち海藻ファンとして、打ち上げ拾いを続けていくモチベーションとなる展示だった。

その他、図鑑関連の資料も充実していた。

押し葉の展示もあるが、比較的少数だ。

海藻もそうだけど、あんまり押し葉って数展示されてないんだよなぁ...

人の作った押し葉たくさん見たいのに...

なかなか一般人が何となくで標本庫で押し葉見せてもらえないでしょう?

牧野博士は押し葉も一流と聞く。

企画展が来るのを待つしかないか...

というわけで、前編となる展示編でした。

本当は園内にはまだまだ、温室や広大な野外順路があるのですが、今回は見てまわれませんでした。

また今度、おもしろい企画展がある際などに再訪したいと思います。

なお園は山のてっぺんにあるので、道中、車の運転が怖い場所が少しあります。

一方通行になっているので、焦らずに運転すれば大丈夫です。

次は購入したグッズを紹介したいと思います。

ありがとうございました。

 

おまけ

これは恥ずかしながら自分の作業机の周り。

今は高知へ行く前に冷凍庫を空けるため、大量に押し葉を作った影響で、さらしなどが少なくなっている。

個人でやっていく上で重要なのは、いかに手軽に気軽に、標本を作ることが出来るシステマチックな環境を整えられるかにあると思う。

牧野博士は自然とそれを体現しておられる。