能登半島周辺の海藻

~能登詞藻庵(のとしそうあん)の海藻日誌~

2020年秋 北海道海藻採集 14日目 北国羅臼を後にして

2020年10月6日

中標津羅臼塘路

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早いものでもう自宅を出発してから2週間となりました。

そろそろ海藻採集も潮時です。

自宅の冷凍庫がもうパンパンであると家人から連絡があり、物理的に海藻を拾う限界が来てしまったのです。

行程的にも今日訪れた羅臼をもって、道東の代表的コンブ生育地は網羅できたので、ちょうど良かったでしょう。

1.標津

ここは海浜公園になっていて、簡単に浜辺にアクセスできました。

打ち上げもご覧の通り。

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残念ながらもう古くなって傷みがひどく、標本などにもできない状態でした。

もう2~3日早く来ていれば、きっと素晴らしい打ち上げ観察が出来たことでしょう。

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またこの公園から車で少し行ったところの浜も見てみました。

こちらはまだ多少は水気の残った多くの個体が打ち上がっていました。

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それにしてもこのコンブ

ニコンブ(Saccharina japonica var. diabolica)

の若いのなのかな。

カラフトトロロコンブ(Saccharina sachalinensis)

じゃないのかな、もしかして...

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そしてコンブと同じくらいアナメ(Agarum clathratum)も打ち上がっていました。

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カラカラに乾燥していましたが、襟裳~根室で採れるアナメと違い、穴の大きさは小さくまた穴の周りが隆起しています。

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これはかつて品種ザラアナメ(Agarum cribrosum f. rugosum)とされていたアナメです。

今日では遺伝的な違いがないことから、アナメ(Agarum clathratum)のシノニムとされています。

暖流の影響を受ける北海道沿岸で広く採集されます。

 

2.羅臼その1

羅臼町手前の海岸の様子です。

比較的新鮮なコンブ類や種々の海藻が多数打ち上がっていました。

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こちらにもアナメ(ザラアナメ)が。

比べてみるとだいぶ違いますね。

私は襟裳~根室で採れる平滑なアナメが好みです。

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羅臼産アナメ

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藻散布産アナメ

う~ん、この中帯部に凸凹模様を持つコンブは本当に何なの?

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ニコンブ?

カラフトトロロコンブ?

誰かわかる方がいらっしゃいましたら、どうぞ教えてください。

その他にもご覧のような海藻が打ち上がっていました。

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このホンダワラは何だろう?

自宅でゆっくり観察することにします。

 

3.羅臼その2

ここからは道の駅 知床・らうす で見つけた海藻関連商品の紹介です。

羅臼昆布(羅臼周辺で水揚げされたオニコンブの食品・流通名)関連商品がずらっと並べられています。

中にはかなりのお値段がするものも。

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こちらは

らうすこんぶてぬぐい

です。

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私はずっと手ぬぐいを集めるのを趣味にしてきたので、一石二鳥でした。

見た瞬間、即買いです。

また道の駅入り口には実物の乾燥オニコンブが展示されていて、このご時世でも触ることが出来ます。

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これを見ると中帯部には凸凹模様は残っていませんね...

なぞは深まるばかり...

 

さて羅臼まで来ました。

できれば

アツバスジコンブ(アツバミスジコンブ)

Saccharina kurilensis

を見たかったですが、残念ながら打ち上がっておりませんでした。

この先オホーツク海側と日本海側には

チヂミコンブ

Saccharina cichorioides

リシリコンブ

Saccharina japonica var. ochotensis

が生えていますが、それは機会があればこの旅後半で探すことにします。

明日以降は再び霧多布、厚岸周辺に戻り、ゴヘイコンブをもう一度探すことにします。

あの感動が忘れられないのです。

果たして再び拾うことは出来るのでしょうか?

それでは。