能登産海藻 紅藻 クシノハ (Dasyclonium flaccidum) の紹介
去る2021年2月6日、石川県能登半島某所にて紅藻
クシノハ
Dasyclonium flaccidum
を採集することができました。
ノコギリモク (Sargassum macrocarpum) の葉を基質としていました。
クシノハについては記述のある図鑑も少なく、また学名で検索してもネット上にあげられている画像も少ない状況です。
そこで私が撮影した画像を公開いたします。
撮影にはオリンパスのTG-5を用いました。
動画はこちら。
操作音が大きいのでご注意ください。
能登産紅藻クシノハ(Dasyclonium flaccidum) その1
能登産紅藻クシノハ(Dasyclonium flaccidum) その2
一連のツイートはこちら。
昨日、能登で採れた紅藻、クシノハっぽい?
— 能登詞藻庵~のとしそうあん~ (@clado_glomerata) 2021年2月7日
岡村金太郎先生の『日本海藻誌』で運よく発見。
産地に能登と氷見の名があった。四高時代に採られたのだろうか。
ちなみに自分の中では名付けるなら「ノトヒメクシ(能登姫櫛)」にしようと思っていた。
クシノハ
Dasyclonium flaccidum#海藻#seaweed pic.twitter.com/Ej4wHqvDJo
クシノハは岡村金太郎先生の時代には既に知られた海藻で、先生の『日本藻類図譜 第1巻』には詳細な図版が収録されています。
分布域も広く『新日本海藻誌』によれば本州、四国、九州、朝鮮半島に見られます。
岡村先生の『日本海藻誌』では産地に”氷見, 能登”の地名が見られます。
岡村先生ご自身が四高(金沢)時代に採集されたのだろうか、などついつい頭の中で考えてしまいますね。
種の特徴は、
体は他の海藻の上を匍匐し...
枝の2節ごとに短条を互生する。
短条の向軸側に5–8本の羽枝を2節ごとに生ずる。
です。
実際に観察してみると確かに羽枝が向軸側に2節ごとに生じています(下写真)。
この特徴によってその名の通り、櫛の歯のような見た目となるのですね。
以下に参考のためクシノハの記述のある手持ちの国内図鑑を列記します。
岡村金太郎 1936.日本海藻誌.内田老鶴圃,東京.
大島勝太郎 1950.富山湾海藻誌.大東出版文化協會,東京.
福井県植物研究会 2000.福井のシダと海藻.福井県県民生活部自然保護課,福井.
田中次郎 2004.日本の海藻 基本284.平凡社,東京.
私自身は今回の採集によって初めて本種の存在を知りました。
とても美しい海藻なので、これからはより気を付けて見ていきたいと思います。